オーストラリアサッカーチャレンジ 寺本貴生選手の体験談

2016.06.16体験談
オーストラリア寺本貴生

寺本 貴生(てらもと たかお)

所属チーム:Port Kembla FC(Illawarra Mercury Premier League)

・日本文理大学卒業(サッカー部副部長)
・大分県サッカー協会役員BLUE WING(大分県社会人リーグ1部)前代表兼監督
・BLUE WINGアドバイザー
・日本サッカー協会公認C級コーチライセンス
・日本サッカー協会公認3級審判員

 

僕は29歳でオーストラリアにチャレンジしました。オーストラリアに来て3カ月でIllawarra premiere league の Port Kembla Football club と契約する事ができ、幼い頃から海外でプレーしたいという一つの夢を叶えることができました。日本では大学卒業後、仲間と共にサッカーチームを立ち上げ代表として7年、選手兼監督として4年間プレーしてきました。

代表としての立場からこのチャレンジに至るまでは本当に悩みました。自ら立ち上げたチームを離れる事や、今まで必死に戦ってきた仲間への思いなど。日本人にとって海外にチャレンジすることは勇気がいることかもしれません。周りの反応を気にしたり環境を理由に諦める選手もいます。僕自身も悩んだ理由はそこでした。しかし最後は人生一度きりであり、後悔はしたくないという思いでした。

僕は今でもチャレンジしたい気持ちを綴ったメールを送った瞬間を忘れてません。僕にとって何かが動き出した瞬間でした。年齢を重ねれば重ねるほど環境も変わりチャレンジする仲間も減り周りの反応も変わってきます。しかし日本でプロ経験もない僕の挑戦に対して、家族、仲間、先輩、後輩たちは全力で応援してくれました。

オーストラリアに来て一年が経ち、サッカーはもちろんその他のところでも多くの事を学ぶ事が出来ています。

オーストラリアセミプロサッカーチャレンジ

オーストラリアサッカーの特徴を具体的に一つ挙げるとしたら仕掛ける”回数”とその”場所”も違います。日本ではパスを回しながら数的有利を作り、いかに局面を打開するかを戦術としてあげられます。

もちろんこれを否定するわけではありません。しかしオーストラリアでは数的有利を作る前に一対一で何度も仕掛けます。おそらくボールを持った時の最初の優先順位であるゴールに向かう姿勢が強いからです。ボールを持つとまずゴールを目指す。ゆっくり時間を使おうとするとなぜゴールに向かわないのかと言われ、評価を下げてしまう事もあります。たとえボールを奪われても何度も仕掛けてくる選手は守備陣にとって嫌なのは間違いありません。

日本人の特徴として、いざ勝負事になった時に必ず”待つ”、“見る”といった「時間に身をまかせること」を選択しがちです。逆にオーストラリアではそれがありません。どんどん迷う事なく突き進む。まさにこれです。試合中これはラグビーではないかと感じる場面も多々あります。フィジカル面でも強く、ハートも強いオーストラリア人の中で僕みたいな小柄な選手がどのようにすれば活躍できるのかを常に考えながらプレーしています。

今年はチームと契約して2年目になります。1年目とは違い僕自身の思いを言葉やプレーで伝えていきたいと思っています。僕の課題としては”チームの為”と”個性を出す”この二つのバランスをどうとるかです。もちろんこれは後者の”個性を出す”が勝たないといけないと僕は感じています。僕の特徴、個性を生かしながらチームの為に何ができるか。僕たちは外国人枠の1人であり、活躍を期待されています。その期待に応えられるように毎日練習に取り組む必要があります。年齢を重ねた今でも日々進化するサッカーに対しての情熱は変わりません。

また僕はオーストラリアでサッカースクールも立ち上げる事が出来ました。好きな事を仕事としています。毎日子供達から多くの事を学び、一緒にボールを蹴り続けることで子供達が僕に”初心”を思い出させてくれます。そしていつかこの子供達が大きな舞台で戦えれる選手になる事を夢見ながら毎日の生活を送っています。僕の新しい夢がオーストラリアででき、僕の力になっています。

ソルリエーフサッカースクール

そしてもう一つの力になっている事は同じ夢を抱いている選手達に出会えた事です。夢を諦めきれずチャレンジした選手たち、逆輸入という形でJを狙っている選手もいます。もちろん簡単でないことは確かです。しかしこういう話を自信を持ってできる選手に出会えた事。いくつになっても夢を語り合える仲間がいる事。チャレンジした選手たがらこそ伝えれる言葉もあります。

そして何より夢をサポートしてくれる方がいます。日本で優秀な選手が活躍できる保証もなく逆に日本で無名だった選手が活躍したりします。基本的に日本とは評価の基準が違うで誰にでもチャンスはあると思います。そのチャンスの場を作って頂いた方に出会えたことは僕の人生でも大きな出会いでした。

幼稚園から始めたサッカーを30歳を過ぎた今でもボールを追いかけていられる事の喜び、有り難さ、そして試合に負ければ未だに悔しくて誰よりも練習に取り組む。年齢を重ねてもその情熱だけは変わってない自分を見ると時々幼い頃から変わってない感じもしますが、全てはサッカーが僕を成長させてくれました。サッカーは自分を見つめ直すきっかけを作ってくれます。僕を人として成長させてくれます。人と人を結びつけてくれました。今では日本だけでくオーストラリアで世界中の仲間ができました。

やはり素晴らしいです。

今後チャレンジを考えている選手たちへ

勇気を持って飛び出してほしい。もし笑われても飛び出せば同じ夢を持った人に出会います。そして彼らはチャレンジした事に対して決して笑いません。またそのチャレンジを日豪フットボールアクションさんのように本当に家族のように親身になってサポート、応援してくれる方々がいます。

夢を諦めず進めばさらに新たな夢に出会います。それが男子だけでなく女子のチャレンジャーであっても、また違うジャンルであったとしても同じことが言えるでしょう。

僕は今後そういった多くの夢追い人と会える事を楽しみにしています。

志高く

感謝=忘れない

オーストラリア日本人サッカー選手