オーストラリア専門サッカー留学・セミプロトライアル
2019-04-10

NPL1 Sydney Olympic FC 安真也選手独占ロングインタビュー!(前半戦)

NPL1 安真也

オーストラリアサッカーの最後の視察は、NPL1 Sydney Olympic FCの安真也選手の試合です。

昨年は、NPL1リーグ優勝、プレーオフ優勝と波に乗るチームの主力として活躍する安選手。

今後の目標やオーストラリアサッカーで感じること、人生観など、安選手の素顔に迫りたいと思います。

ブログ1記事では書ききれないので前後半に分けました。

サッカーと同じです!

ではどうぞ!

小林:
まず最初に、1年目にウーロンゴン1部でプレーして、2年目にNPL1と契約、3年目にNPL1で優勝と着々と実績を残して来ましたが、4年目の目標はありますか。

安:
昨年はリーグ優勝、プレーオフ優勝と完全優勝を達成したんですが、全豪のNPLチャンピオン大会で優勝できなかったので、それを取りにいきたいですね。

実力的には優勝できたと思うんで。手応えはありました。

まずはリーグを連覇して、全豪NPLでも優勝を取りたいです。

小林:
チームとしては、まだ取っていないタイトルを取りにいくということですね。個人としての目標はありますか。

安:
今、得点を取るようなポジションではないので、1試合でも多く出場してチームの勝利に貢献したいです。

試合の流れとか状況の変化で上手くプレーできる選手は多くないので、自分がバランスを取りながらチームのためにプレーできたらと思います。

小林:
着々とステップアップしていけた(成功できた)理由は何だと思いますか。

安:
1年目の実績から2年目にNPL1から声が掛かったわけではなく、11月くらいから1ヶ月間ほど練習参加(トライアル)をさせてもらってなんとかNPL1と契約ができました。

1年目の経験を踏まえて、開幕までのスケジュールを考え計画的に練習に参加できたのはまず良かったです。

トライアルに関しては、練習でいきなり自分のプレーを出さずに、チームが何を求めているか、監督が何を求めているかを理解して、求められているプレーをしつつ自分の良さを出すように意識していました。

小林:
最初はチームのためにプレーして、その上でプラスα自分の武器を出すということですね。

安:
いきなり自分のプレーだけしても、かなり良くないと評価されないので。

監督やチームが求めるプレイヤーでなければ契約には至らないですね。

正直、チームに入ってしまえばポジションを変えたり思うようにプレーすることも可能なので、まずは契約することを目指すべきで、そのためにどうしたらいいかを考えるのが重要だと思います。

3年目にはNPL1で優勝したのですが、契約してからずっとチームのメンバーとしてどうプレーしていくかを考えていました。チームが勝たなければ個人の評価もないので。

チームメイトとコミュニケーション取りながら、いいコンビネーションが生まれるように練習から取り組んでいたので、その結果が個人としての評価やNPL1での優勝に結びついたのだと思います。

コミュニケーションも含めチームのためにプレーしていたことで、プレーだけではなく人間性も評価され契約更新だったり、条件もよくなっていきました。

小林:
人間性という言葉が出ました。やはりコミュニケーションは重要でしたか。最初は英語も不慣れだったと思いますが。

安:
練習ではたくさん話す方ではないですけど、話しかけられたらしっかり話すようにしています。

英語に不慣れなことはチームメイトもわかってくれているので、しっかり聞いてくれます。

それと練習中だったり試合中のプレーでサボらないとか、チームのイベントにはできるだけ参加するとかして良い関係を保つようにもしています。

積極的に話せるなら話した方がいいと思いますが、話せないなら話せないなりに自分が外国人プレーやだからという理由でみんなからちょっと距離を置くよりも、できるだけ側にいるように心がけるのがいいと思います。

小林:
チームのメンバーとして、当たり前にみんなと一緒にいることの積み重ねで信頼を得ていくということですね。安選手はプレーを見せることでも信頼を得ていますね。

安:
昨年は『ロボ』ってニックネームで呼ばれることもあって、練習や試合でサボらないことからそう呼ばれているのですが、オーストラリアの選手はよく止まることがあるなかで、自分はサボらずにプレーすることで献身性も評価されていると思います。

チームでトラブルがあっても、「真也は悪くない」「あいつはそういうこと(悪いこと)はしない」とチームメイトが言ってくれます。

日々の姿勢や真面目さが評価されているので嬉しいですね。

小林:
人間性、信頼関係の話は貴重な話ですね。スキルの高い安選手でも献身的なプレーや日々の姿勢で評価を得て、はじめて上のレベルでプレーできるということですね。

安:
自分は以前はドリブルばかりするタイプの選手でしたが、海外を周っていくうちに芝生とかグラウンドが悪いところもたくさんあり、ドリブルができない試合やパスが来ない試合もあって、海外でプレーする難しさをずっと経験してきました。

その経験のなかで徐々にプレースタイルも変わってきたんだと思います。

個人で抜くことだけじゃない、勝つためにはそれだけじゃないことに気づいて、走ったり、バランスを見たりすることで勝利に貢献できることも重要だと考えるようになりました。

自分は上手いとは思っていないので、泥臭くやっていきます。

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小林:
安選手がいたこの3年間でオーストラリアサッカーは変わりましたか。1年目はウーロンゴンリーグ、2年目からNPLなのでそこの差もあるかと思いますが。

安:
ウーロンゴンでは練習時間もメニューも適当でしたね。選手も遅れたりするのが当たり前でした。笑

NPL1のSydney Olympicに移ってからは、練習30分前に集合で遅れたら罰金などもあります。

チームのオーガナイズもしっかりしています。

同じセミプロでもNPL1の方が真剣さがひとつ上がるイメージですね。選手の目指すところも全然違うように感じます。

Sydney OlympicにはAリーグから来た選手もいますし、アンダーの代表選手もいます。

ウーロンゴンでは、試合の後半10分ほどで足が止まりますが、NPL1の選手は後半も足を止めずに走ってくれます。

NPL1の選手は技術的にも高いものをもっているので、トライアルを受けに来た日本人選手は『思っていたよりはできる』と一瞬驚くかもしれません。それでいて体も強いです。

個人戦術や技術は日本人選手の方が勝っていると思いますが。

NPL1でもまだまだ蹴りますが、ここ数年でポゼッションするチームが増えてきているのは確かです。

小林:
Aリーグから来る選手や、アンダーでしっかりサッカーを学んだ選手が入ってきて、サッカーを知っている選手が増えてきているようですね。

安:
NPLではしっかり自分たちの形を持って崩しに掛かってくるチームもあります。そういうチームは強いですね。

昨年はうちが優勝しましたが、Blacktownはまさにそういうチームで、圧倒的にポゼッションされて、中盤を崩されてという試合もありました。

そういうチームを見ると年々レベルは上がってきているように感じます。

うちのチームの選手もひとり、シャルケ(ドイツ)のU-23に移籍しましたし、Aリーグにいった選手もいます。個人のレベルも上がっていますね。

小林:
先ほどのプレースタイルの変化のお話もありましたが、オーストラリアサッカーに身を置いて自身のサッカーも成長していますか。

安:
ずっとウイングやってきたのですが、去年はサイドバックではじまり、途中から急造でボランチをやりました。

試合中に、サイドバック、ウイング、ボランチ、トップ下とポジションを変えたこともあります。

ボランチがメインでしたけど、ポジションを柔軟に変えながらほぼ全試合フルで出場しました。

そのなかで、シンプルにプレーするとか、試合の流れを読むとか、以前はできなかったのですが、少しはできるようになったと思います。

小林:
試合の流れを読めるようになったというのがキーワードですね。

安:
サッカーを100%理解している人はいないと思いますが、自分は20%だったのが25%くらいにはなったと思います。

小林:
プレーに対する思考が少し変わってきたということですね。

安:
オーストラリアのラフなところ、カジュアルなところを受け入れることができるようにもなりました。

自分はずっとお酒とかも飲まずにストイックにやっていたのですが、結果はついてこなかったです。

そこでオーストラリア人のオンとオフを少し見習い、サッカーに影響が出ない程度に少し遊ぶようになったら、それが自分には良くてサッカーのパフォーマンスも上がりました。

オン、オフを切り替えることができるようになったのはオーストラリアの影響が大きいです。

小林:
オン、オフのスイッチを持てるようになり、サッカーとそれ以外のバランスも取れるようになったということですね。

安:
オン、オフのスイッチはサッカー以外にも繋がっていくと思います。

小林:
オーストラリアサッカーの難しいところはどこですか。どう克服しましたか。

安:
やはりフィジカルですね。

日本人選手にも大きい選手や強い選手もいますが、オーストラリアの選手はナチュラルにもっと大きいので、脂肪のある選手も単純に重いので強く感じます。

そこはみんなが通る課題だと思います。

技術の面では、ワンタッチ、ツータッチでプレーしたいとき、パスを出してワンツーでリターンをもらいたいときに、出てこないシーンが多くあります。

早く攻めたくないのに、縦に急いでしまったり。

でもそのなかでどう自分がプレーするかが重要ですね。

パスを出してもリターンがないことも想定して次のプレーに移るとかですね。パスが返ってこないことにイライラしないで、プレーを続けることです。

例えば縦ばかりドリブルを仕掛ける味方には、ワンツーを要求するのではなく、スペースに出して勝負させてあげる。その上で自分が次のプレーに移る。

イライラしてストレス溜めると自分のプレーにも影響がでるので、味方を上手く動かしながらその環境でどうプレーするかを考えています。

小林:
日本にいる時は関東リーグ1部でプレーしていましたが、関東リーグと比べてオーストラリアサッカーのレベルはどうですか。

安:
サッカー自体が違うので単純に比較することは難しいです。

サッカーのレベルは数字で表せないので。ウイイレみたいにオフェンス力がどうとか。笑

関東リーグのチームであれば、優勝できるかはわからないですがウーロンゴン1部なら上位にいけると思います。

NPL1では、なかなか難しいかもしれません。

足元の技術は関東リーグの選手が上手いと思いますが、局面の勝負、フィジカル的な勝負などを考えると試合で勝つとなると難しいと思います。

元鹿島アントラーズの田代有三さんがNPL1のチームでプレーしていたのですが、「J3のチームだとNPL1では優勝できない」と言っていました。

Jリーグを経験している選手の目線でそう見ているようです。

圧倒的に技術力はJリーグ選手があると思いますが、サッカーはそれだけではないので。

 
 
後半へ続く。

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